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17.9%   その5 [17.9%]

あれから、数ヶ月・・・

叔父さんは、病室で寝てる時間が多くなっていた。

見舞いに行っても静かに眠っているのが殆どで

顔だけを見て退室する日々。

最期の日が近づいている事を、見舞いに来た誰もが感じているはずだった。


医師の話では、暫くこの状況が続くだろう。と、言う事だった・・・



様態は急変


和也に、連絡が来た時には既に遅く

体を大切に・・・この一言は、結局本人へ伝える事は叶わなかった。


・・・・・


和也の父親は涙を流していた。

和也に取って見たくない場面だった。

和也は、父親と叔父さんは

特に仲が良かったと思って見て無かったのに

泣いている父親を見て、自分が想像していたより

思いが強かったんだと、気付かされる。



病名:肺癌

和也は、入院中の叔父さんに、肺癌は癌の中でも死亡率が高い。

そう聞いていたが、気にも止めてなかったのだが

葬儀の後、和也は肺癌の死亡率を調べてみた。

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和也の見たデータでは確かに癌の中で、一番死亡率が高い。

でも、和也は思った。

命有るものは、100%亡くなると。

だから今を、もっと大切に

伝えるべき事は、今伝えなければならいと。
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17.9%   その4 [17.9%]

その後・・・

叔父さんは、入退院を繰り返す日々が続いた。

足が痛い。

足を切断して欲しいと思うほどの痛みにも耐え回復を目指す。

急に痩せたかと思えば、回復し様態は不安定のまま時間だけが流れて行く。

和也は、段々お見舞いに行く回数も減り間が長くなっていた。

お見舞いに行くと叔父さんは、決して辛い顔は見せなかった。

見舞いに来た人へ、辛い顔を見せたく無いからだと和也は思った。



知り合いが以前、入院していた頃

お世話をしてくれていた看護士さんから

「夜、一人に成ると、どうしても涙が溢れて

泣いているんですよ。」

と、聞いたのを思い出していた。



この日、和也は病室を出る時に、「お体、大切に。」

この一言が口に出せず・・・退室した。
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17.9%   その3 [17.9%]

和也が、叔父さんの病状を聞いたのは

先に帰る叔父さんの乗る車が、出た直後だった。

病名は、肺ガン。

抗ガン剤の副作用で、髪の毛が抜け自分の手で丸刈りにしたそうだ。

和也は、叔父さんとの残された時間を意識し始める。




それから何ヶ月の時が流れた、ある日

電話で、叔父さんが入院した。と知らせが入って来た。

和也は、両親を連れて見舞いに向かう。

病室で横になっていた叔父さんは、思っていたより元気そうで

起きあがり病室では無く、小さな談話スペースへ案内した。

見舞いに来た、和也達に飲み物を出し気遣いする。

入院している患者からの気配りに、申し訳ない気を持ちながらも

ありがたくコーヒーを頂いた。

その日は、天気もよく快晴で景色もよく見えた。

空気の澄んでる時は、遠くの山も綺麗に見える事などを

叔父さんは話してくれた。

そんな会話の中、ポツリと叔父さんはこう言った。






命は、自分で作り上げた物では無い

頂き物だから、逆らう事は出来ない。

頂いた命の長さは、人それぞれで

頂いた分だけ大切に生きるしかないよ。







残された時間が、長く無い事を感じていたに違いない・・・
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17.9%   その2 [17.9%]

和也は、年に2度挨拶に来るが親戚と顔を会わせる機会は少なかった。

いつもとは、違って賑やかな顔ぶれになったが、出る話は賑やかさに欠けている。

久しぶりに、見た叔父さんの顔に驚きを隠そうとしているものの

きっと表情に出ているだろうと、和也は思いながら話を聞いていた。

しかし、髪の毛が無くなった叔父さんは昔と変わらない笑顔を見せている。

その笑顔を見て、和也は子供の頃を思い出していた。

年が近い事もあって、小さい頃は従兄弟の家に遊びに行く事が多かった。

そんな時、叔父さんは「これ、やってみるか?」

と、当てクジを和也に差し出した。

和也は、やる気満々だったが「でも?本当にやっていいの?」と子供なり気を使って

確認する。

和也は、その当てクジは商売で使う物だと分かっていたからだった。

叔父さんは、「あぁ、やっていいぞ!但し1回だけな!」

和也は、迷いに迷って一つ選びクジを開ける。

結果は「はずれ」

一度やれば、またやりたくなる。

泣きのもう一回を、叔父さんへお願いする。

その時、叔父さんは「しょうがないなー。もう一回だけだぞ!」

笑顔でそう答えてくれた。

和也には、その時の笑顔と今の笑顔が、似ている気がしていた。
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17.9%   その1 [17.9%]

ある夏のお盆休み。

その年の夏は、涼しく過ごしやすい日々が続いていた。

そんな日に、和也は父方の実家へ御中元を手に向かっている。

その家は、和也に取って、お爺ちゃん、お婆ちゃんが亡くなってしまった今は

叔父さんでも有り、結婚の際にお世話になった仲人の家でもある。

父親と、和也そして、叔父さん・・・三人で飲み交わすのは、お盆とお正月・・・年に二度

決まってこの家だけに成っていた。

いつものように世間話に始まり、孫の話に兄弟の話・・・

そこへ、また一組の親子がやって来る。

和也の従兄弟と、その父親、(和也の父親の弟)だった。

久しぶりに会った従兄弟の顔を見て、思わず和也も笑みがでている。

しかし、その笑みは一瞬だけでむなしく消えた。

その理由は

従兄弟の父親の髪の毛が無くなっていたからだった。

病気で入院していたとは聞いていたものの・・・

一目で、軽い病気では無かった事を、和也は感じた。
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